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そんな村だからおいそれと友達をつれていけるはずもないんだけど、秋休みばあちゃんに言われたんだ。
「お前はいつも友達を連れてこないね」
なんで今思い出したのかわからない。でもあの一言がきっかけだったんだと今は思う。
さて、それじゃ今の俺のことを少し書いておこうと思う。
俺は高校を卒業後、ウェールズではなくロンドンの大学を志望した。
ロンドンにはなんでもある気がしたんだ。輝き、最先端のもの、豊かさ、芸術、人脈。だが、合格した年、ばあちゃんはそんな俺を見透かすように言ったんだよ。
「まるで貸家かつまらぬ農地のようなものだよ、イングランドは」
俺への当てつけか、それとも年寄りの愚痴みたいなものなんだろう、とそのときは思ってたんだ。だけどいつもどこか引っかかっていた。だってあまりに酷いいいっぷりじゃないか。
確かにウェールズとイングランドの歴史は複雑だ。内容も気持ちの上でも。だけどばあちゃんのなかにはそれ以上の「何か」があるように思えてならなかったんだ。
そして、もやもやする胸のしこりを晴らすかのように、俺は歴史学科に進み、研究に打ち込むことになった。そして今の大学に通うことになったわけ。

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