3)ニュースを「線」で見ることができる。新聞記者さんにはそれぞれの得意分野がある。あるテーマ(例えばLGBTQ+とか、沖縄の基地問題とか)を継続的に取材している記者さんは、これまでの取材や記事執筆を通して蓄積された知識を有しているため、一つ一つの記事のなかに、当然そうした過去のデータや知識が背景として流れ込んでいる。そのことで、単発的な事実報道だとしても、適切な背景情報と共にそのニュースを摂取できることが多い。また、同じ記者さん・取材チームによる記事を通時的に読んでいれば、その記事ひとつに対するこちらの理解もより一層深まる。※逆に言えば、ある新聞記事ひとつに対する評価をもって、その新聞社や報道部、記者さんに対する全体的な評価を下すことはできない。そのひとつの記事だけを読めば、社会の保守的な発想に迎合的なスタンスに見えるかもしれないけれど、何本もの記事を通して様々な批判的視座を提供する、その通時的な流れが背後にある可能性もある。もちろん、そんな面倒なリテラシーを読者に要求するなという話でもあるのだけれど、新聞はそういう風に読めるものだし、それは新聞ならではの報じ方でもあると思う。

朝日新聞デジタルのプレゼント機能で Webの有料記事がシェアされるのをSNSで見る機会は増えた。ぜひ、新聞そのものを講読する(紙でも電子でも)人も増えてほしい。新聞を(とくに紙面で)読むことにはいくつもメリットがある。
1)信頼性がある。もちろん新聞社も間違えることがあるけれど、現代のメディアで抜群に信頼性があるのはやはり新聞。「ネットで全てが分かる時代」も、信頼性の高い情報を生産・流通させている新聞記者や研究者の働きに結局は依存している。※だから新聞社が潰れたらネット空間はゴミになるし、日本のネット空間が極端に右傾化している理由の1つは産経のWeb版が無料だったことにあると思う。
2)ニュースの重要性が判断できる。SNSでは扇動的なコメントと共に騒がれるニュースが、紙面では小さな扱いということもしばしば。もちろん新聞社による紙面の大きさ・場所の分配の判断が常に正しいわけではないけれど、どの面で、どれくらいの大きさで報じられるニュースなのかということから、そのニュースの重要性を知ることができる。Twitterでは全てのニュースが1マスにぺしゃんこにされるので、その判断ができなくて困る。

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