読了 今村夏子/父と私の桜尾通り商店街
短編集。
お腹いっぱい!
日常生活でいそうなズレた人を描くのが本当に上手い。
表面的に付き合う分にはちょっと変わった人、で済むのだがその人の生活を追っていくと異常さが浮き上がってくる。
それは異常なまでの執着だったり鈍さであったりひたむきさであったりする。
「ピクニック」と同様の設定の話があり、彼女等がとった行動の意味が最初はなかなか理解できなかったのだが、何かに酷似してる気がするなあ、と引っかかっていた。
あ、死に化粧とか棺桶におさめる時の儀式的な雰囲気だ!と気付いたら、より不気味さが際立った気がした。
表題作は最初、主人公は小学生かと思っていたら子供がいてもおかしくない年齢に達した女性だったことを知る。
閉じた世界で、時間も半ば止まったような感じで生活していたのだろうか、と想像した。
とあることがきっかけで、彼女の周りは動き出すのだがその動き出したと彼女の労力の掛け方の方向性が的外れで、彼女の狂気が吹き出していく。
グサッと来るのではなく、チクチクした痛みがずっとあるような読後感だった。
最高すぎる。