図書館で借りた本
(1)「明治物売図聚」三谷一馬
江戸から明治にかけて、どのような商売を生業(もしくは季節労働や副業)としていた人たちがいたのか簡潔に紹介され、絵も添えられているのが参考になる。
表紙に描かれた蝙蝠傘を持つ人の仕事は「千金丹(薬の一種)売り」。夏にのみ、町に姿をあらわす。
また「人形使い」の項では小野不由美の小説《東亰異聞》を思い出した。
明治の人形使いには一般に女性が多かったみたいです(だから、作品に登場する人形使いが男であるのは意外な要素として描かれる)。
(2)「二壜の調味料」ダンセイニ
小林晋訳
ファンタジー作品で特に名を馳せた著者だけど、なんとなく目についたものを借りたら推理系の、また昔懐かしな趣のある短編集だった。
スメザーズ&リンリーの2人組が活躍する話にはナムヌモ、っていう「肉と塩味料理専門」の調味料が出てくるんですが、どんな種類の肉でもおいしく食べられそうで魅力的。
そう、どんな種類の肉でも……。
読後感がポーの『モルグ街の殺人』に近かった部分は、本当に推理小説の原型というか、これって当時ならとても新しいアイデアだったのだろうなと各要素から伝わってくるところ。
今では使い古されているあれこれも多いのでむしろ新鮮で。