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短編〈ホアズブレスの龍追い人〉に出てくる強いお酒……
苦い、金色のワームスプアー。

"豊かにけむる黄金のなかで熟成して、鉱夫たちに筋肉の痛みを忘れさせ、果てしなくつづく冬に彼らから不思議な物語をすこしずつ引き出していく。"
(マキリップ〈ホアズブレスの龍追い人〉(2008) 大友香奈子訳 p.12-13 創元推理文庫より)

金色をした苦みのあるお酒。
身近なものだとビールなどがまず思い浮かぶ、でも本文の感じからすると、どちらかというとブランデーやウイスキーに近い質感であるような気がする。
寒さを紛らわせたり、気付け薬にしたり、怪我の傷口に吹きかけたり。

"「なかになにを入れたんだい?」
「黄金」
「火、石、暗闇、たきぎの煙、冷たい木の皮のにおいがする夜の空気」
「すべてよ」
「それと龍の心臓が入ってる」"

こちらの世界だと、例えばシングルモルトウイスキーを舌で溶かすように味わって、そこに灰色の煙、樽の気配、重なる地層の土や、潮騒と海の風までもが溶け込んでいるのを感じる時がある。
だから島の娘、ペカ・クラオが上の台詞で語ったようなものたちがワームスプアーの中にもある、とはっきり思い浮かべられるし、叶うなら本物に触れてみたい。

この地球には実在しないお酒。

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