昔の写真。
英国湖水地方のクロマック湖、またその双子(氷河湖の成り立ちからいえばそう……かな? 面積が異なるので、印象は兄弟?)のバターミア湖は18世紀末、画家ターナーが描いていた大きな大きな水たまり。
両者を分かつようにある谷間の陸地には、小さな「ブリッジホテル」が建つ。
砂利道の端にロープを引いただけの駐車場に友人の車が止められ、ほぼ助手席で寝ていただけの私も外に出て、ブリッジホテルの横をぶらぶら歩いていたら、近くの家から犬が登場した。
見たことのない種類で、まるでモップのような粗めの毛並みと、目の周りから顔の側面にかけてだけがクリーム色になっているのが忘れられない特徴だった。
耳が蝶々か、角度によっては触覚を思わせる形をしている。
うす茶色と灰色の混ざった鼻は栗と見紛う。柔らかく煮て、甘く味をつけた栗。マロングラッセ。そーっと触りたいけれど、野外では動物には触らないよう幼少期から教えられていた。
首輪はしていない。でも、民家の塀の内側から出てきてこちらに近寄ってきた犬。話しかけて、しばらくしたら早々に別の場所に行ってしまった。
この道はよく動物が通るらしい。帰りに、群れからはぐれてしまったのか、体に識別の印がついた羊を2匹見たから。きっと後で回収されたのだろう。