JR北海道 釧網本線
B77 藻琴駅(Mokoto)

駅名が「もこと」で、電報を打つ際に使われる略号が「モコ」なの、なんか……かわいい感じの響きだな……と思っていた。
モコ。
じゃあ、これをコピー&ペーストして横に並べてみたら、モコモコになるんだろうか。でも、基本的に鉄道の駅はコピペできない。あっという間に土地も線路も足りなくなる(そういう問題ではない)。

ここは大正13年に開業した。
近年、1日の平均乗車人数は15人に満たなくなっている。
網走方面へ向かう車両は、1日に約7本。
知床斜里・釧路方面へ向かう車両も、1日に約7本停車する。

手を入れながら存続している古い駅舎の中には現在喫茶店があって、一応、営業時間に行ってみたのだけれど開いてはいなかった。
都合により休業していたり、開店の時間が変わったりするのはよくあることだから、しばらく待ってみるも特に何も起きなかったので「覗きに来たよ~」という思念だけを扉の向こうに送っておく。

誰かがお店を開けにきたら、私の残した声だけがボソッと喋ってくれるはず。
怖いかもしれない。

待合室に設置されている椅子の、ひとつひとつ色が異なる部分が好きで、気になった。
別に全部同じ色でも良さそうなのに、わざわざそうなっているところが。

JR北海道 釧網本線
B76 北浜駅(Kitahama)

藻琴駅のおとなり。

映画「網走番外地」の撮影が行われた場所のひとつで、この北浜駅自体の所在地も末尾が「無番地(番外地)」らしかった。たまにある地番のない土地。
もと国鉄の民営化以降、敷地がそのまま残り、使われている影響を感じる。

北浜駅待合室の内部、壁の4面にも、天井にもびっしりと訪問者の名詞が貼られている(ちょっと怖い)中に、乗車券や航空券を残していく人もあった。
とりわけ、もう運行を終了した鉄道の切符なんかが発見できると面白い。

海に面した陸地のふちをなぞるように走る釧網本線。
でもそのうち北浜駅を取り上げて「最もオホーツク海に近い」と称する理由は、ホームに居ながらにして流氷を視界に収めることができる点にあるらしい。茂みや建造物に遮られず海を拝める。
駅舎の横には小さな展望台も。上るとオホーツク海だけでなく、天気が良ければ知床連山の一部も見えた。

ここで偶然出会ったのは快速「しれとこ摩周号」。
1日に1往復しかしておらず、何も考えずにホームにいたところ、網走方面から来てくれたのが幸運だった。目を凝らすと遠くから走行してくるのが、ライトでわかる。

非電化区間を走行する1両編成の車両はひたむきな感じがする。

フォロー

JR北海道 石北本線・釧網本線
A69 網走駅(Abashiri)

藻琴駅のモコ、北浜駅のキマときて、では網走駅の電略はというと「アハ」らしい。声に出して言いたい。
入場券を買い改札内をうろついて、アハを体験した。
北見へ向かう列車と遠軽へ向かう列車が連結されているのを見た。

駅舎は正面の屋根に近い場所に、白い線にふちどられた赤い文字が3つ並んでいる。
その下の方に角の取れた長方形の窓が6つ並んでいる。
くるっと反対側を向くと、オホーツク・網走と文字が取り付けられた柱があって、その後ろに「ホテルしんばし」が建っていた。

このあたりにいたとき自分が何を考えていたのか思い出せるけれど、思い出した結果、とりわけ強く浮かんでくるものがないので、正しくぼうっとしていたのかもしれないし単に疲れていただけかもしれない。網走監獄を見た日は軽度の熱中症になった。
ただ、周辺の地図を眺めて想像していた風景がある。鉄道車両に駅があって本当に良かったと考えていた。
もしも途中停車駅の存在しない線路を走る1両編成の列車があったら、寂しそう。勇猛果敢な感じもするけれど、だからこそ尚更。

鉄道車両の姿はときどき伝書鳩に似ている。辿る線路があるかどうか、の違いはある。

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