『ジュビリー ~ボリウッドの光と影~』
▷ シーズン1 全10話 Prime Video
人々がスクリーン上で歌い、踊る、インド映画産業(ボリウッド)発の作品は現在広く知られている。
録音技術・映像機材の発展に伴い生まれたその形式を踏襲して、20世紀半ば、インド・パキスタン分離独立を背景に「名声」をめぐる物語が展開する。
映画界の名声。
俳優、時には監督が得る誉れである。一方で『ジュビリー』におけるそれは、本物だった誰かが闇に葬られてしまった「たったひとつの名前」そのものでもあった。
マダン・クマール、という。
これは〈もういない人〉にまつわる登場人物たちの物語。
ロイ、スミトラ、ビノード、ジャイ、ニロファルほか。
もう二度と会えないジャムシェド・カーンに過去、少しでも関わった者たちが皆、それぞれの立場から彼の記憶を己の銀幕に映し出す。
彼らが憶えている限りジャムシェドはそこにいる。
映画関係者が権力・財・政治に縛られ生殺与奪を握られる中、何の後ろ盾もなく路上に放り出されたとしても、自由に演じることが至高だと信じていたジャムシェド。
この寂寥感、むしろシーズン2は無くても十分じゃないかな、と思う。
最終話にナレンの描写があったことで色々なものが回収された。