イスラエルに住む、アラブ人キリスト教徒の女性の生活にスポットを当てた絵本。

彼女の1週間の生活をタイムラインとし、日々の食事が中心として配置される。
食べることは生きること。その日が存在するにはそれまでの生活も在る。
彼女の人生と背後にある紛争、マイノリティの社会的地位、女子教育のこと、それでも生活は続くこと。

ある国を知ろうとするなら、人々を自分の隣人と感じられる「日常」を描いたものを読むことは強力だと思った。

シリアスな紹介文にならざるを得ない社会状況であるが、本書に出てくる食事や菓子はあたたかく美味しそうで、それを作るウンム・アザールの誇りに満ち溢れた姿、紛争だけではない中東の姿、そしてそこに生きる人々を知りはじめることのできるすばらしい書物。

ウンム・アーザルのキッチン|福音館書店 fukuinkan.co.jp/book/?id=7373

民博通信2013 No.142 older.minpaku.ac.jp/research/a に掲載された、

菅瀬晶子「イギリス委任統治時代の再考へ向けて(共同研究●パレスチナ・ナショナリズムとシオニズムの交差点)」
older.minpaku.ac.jp/sites/defa

という記事をたまたま見つけて、差別に耐えかねたイスラエルのイスラム系市民が、イスラエル軍に志願し、最前線に投入されている、という話を読んで、暗い気持ちに。

10年前の記事だけど、今もこうした構造は続いているのだろうか。

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