ザリザリと舌先に当たる恥垢を自ら進んで刮げ取り、ザラつきが無くなるまでそれを繰り返すと、舌の上にそれを集めて口を開いて舌を見せた。
　唾液でぬらつく口腔内。真っ赤な舌の上に、白い恥垢が小さな山を作る。
　相澤は、やれと強要した事はなかった。目の前の生徒が自ら進んでやり始めたのだが、この猫が獲物を捕って来たのを飼い主に見せびらかし、褒めろと強請るような、そんな可愛らしさを含んだこの行為を、この若く見目もよく、常に清潔感のある、愛されて育ったと一目で分かる少年が、自分の汚い所を進んで舐めしゃぶり、舌で刮げた恥垢を見せてくる度、背筋から脳天へ掛け、ゾゾゾと這いずっていくなんとも言えない劣情が、背徳感が、やめろとは言えなくさせた。
「味わったら、飲み込んでもいいよ」
　相澤の手のひらが、少年の頭を撫でる。彼は嬉しそうに目を細めながら、肩を閉じると数回、さもうまそうに口をモグモグと動かすと、口の中に溢れた唾液と共に喉を鳴らしてそれを飲み下した。
　少年の方がまた、ぱかりと開けられる。
　唾液でぬらつく真っ赤な舌の上は、すっかり綺麗にっていた。
「ご馳走様でした」
　はっ、はっ、と。興奮して発情したように呼吸を繰り返しながら、少年は真っ直ぐと男を見つめている。

→

　見下ろした先で先程までダラリと力無く垂れ下がっていた少年の股間が、ゆるりと雁首をもたげて主張しているのが目に入った。
　アスファルトの上の液溜まりが、先ほどよりも広がっている。
　やれやれ。この歳で、とんだ好き物になってしまったものだ。
　相澤は呆れを滲ませながら、ふうと息を吐き出すとブーツの先で少年のペニスを突いた。
「ッア♡、あ、ッン゛♡」
　少年は使い古され汚れたブーツの先で、自身のペニスをぞんざいに弄られているというのに、僅かな刺激にすら艶のある声を上げ、真っ白な身体を震わせた。
「心操、喘いで無いで続き。しねえなら帰れ」
　呼び出したのは自分なくせに、どうも今日は苛立って駄目だ。
　大人気ない自覚はあるが、歳ばかりを重ね、大人の振りを少しばかり覚えた程度の自分ではどうする事も出来ず、相澤は持て余した苛立ちをぶつけるかのように、少年に強く当たった。
　帰れと言われた少年は、ビクリと肩を揺らすと顔を青くさせながら、ごめんなさいと慌てて相澤に謝罪し、慌てて目の前のペニスにまたしゃぶりつく。
「腹ん中に入れて来たんだろ？　見ててやるから放り出せ」
　声の冷たさとは裏腹に、少年に触れる相澤の手はどこまでも優しい。

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　相澤の手のひらに愛おし気に擦り寄りながら、少年は下腹部に力を入れ自ら腹の中に収めて来た物を、師の前で放り出し始めた。
　奥の窄まりから奏でられる、淫靡な排泄音が続いた後、アスファルトの上にショッキングピンクのコンドームがずろりと張り出された。中にはパンパンにローションが詰められている。
　一度では終わらない。それは幾つも少年のアナルから放り出され、湯気を立てながらぼとりと落ちる。
「ン゛ッ、ッん゛♡、ッ、お゛♡、ッは、ン、ッえ゛♡」
　力む度にペニスを収める喉が、震えながらぎゅ、ぎゅ、と閉まる。
　少年のペニスは異物が肉壁を押し広げ、閉じた窄まりをミチミチと広げて外に放り出される度に、上下に揺れながらピュッと透明な液体を噴き上がらせた。
　その度に、相澤のブーツが汚れている事には気付いていない。
　ブリ、ブリと汚い音を響かせながら、目の前で擬似排泄を始めた少年を見下ろす相澤は、ふー、ふー、と鼻息を荒くし、目の前で行われている痴態を見つめていた。
　目の前の少年を汚せば汚す程、何かが満たされていく気になる事に恐怖している自分は在れど、嫌がらず、なんなら今のように自ら進んで行う少年に、相澤はなんとも言えない愛おしさも感じていた。

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　相澤は少年の小さな頭を両方の手のひらで強く掴むと、ガツガツと腰を振り始めた。
　亀頭の先でゴリゴリと上顎を擦り付け、垂れ下がる口蓋垂をゾリリと潰しながら喉奥深くまでペニスを押し込む度、嘔吐反射と異物を放り出す快感に喉が震えながら締まるのを、恍惚とした表情を浮かべ堪能する。
　口の周りに真っ黒な陰毛を貼り付け、涎とカウパーと涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった真っ赤な顔を見下ろしながら、その全てを更に混ぜ合わせて塗りたくるように、相澤は少年の顔を動かないように固定しながら撫で回した。
　この少年は自分にこれ程までに汚されようとも、愛おしさを含んで寄越される眼差しはいつも変わらない。何処まで許されるのか試してみたい気持ちにさせるこの瞳が、悪いのだ。
　自分の中にこんな加虐性が潜んでいたとは、この少年に出会うまで知らなかった。
　目の前の少年により引き摺り出された本性が、目の前の少年の前でだけ赦される。……だというに、この少年は自分だけだと思わせておきながら、俺が手放したとしたらその被虐性を他に、自分に対してそうであったように求めるのだろうと、思えてならなかった。この不安が、目の前の少年に対する仕打ちを加速させる。

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　初めは生徒の一人だった。
　重ねてしまってから、特別目をかける生徒となった。
　優柔不断で二の足ばかりを踏んでいた学生時代の自分と、何故か目の前のこの生徒が重なって見えたのだ。
　あの時、自分が学校からして貰いたかったであろう事全てを、俺はこの生徒に行うと決めた。可愛い生徒だったのだ。初めは。ただ純粋に。
　……気付いた時には、これだ。何処で道を誤ったのかも、誤らせたのかも、思い出せねえ。
　長い付き合いの友人に、この事を知られたら殴られるだけではすまないかも知れない。
　相澤は腰の動きを止めると、ずろりと口腔内から自身のペニスを引き摺り出した。
　それと同時に最後の一つが少年のアナルから放り出され、湯気を纏わせながらぼとりとアスファルトの上に落ちた。
「は、ッ♡、っン♡、ッは、あ、あっ……♡」
　じょろり、と。
　今度は別の排泄音が、静かな路地に響く。
　結局、最後まで完全には勃つ事の無かった少年のペニスから、ジョロジョロと尿が溢れ出し、液だまりを大きく広げてゆく。
　恍惚とした表情を浮かべ、ポカリと口を開けて舌を伸ばす、なんとも汚らしくなった顔を満足気に見下ろし、相澤は自身のペニスを握り込んで数回扱くと、剥き出しの額目掛けて滾りを吐き出した。

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　どろりとした乳白色の滾りが、額から堀の深い目元を流れ頬をつたい、口元へ流れていくのを、少年は舌を伸ばして必死に舐め取ろうとしている。
　相澤はそれを見て安堵しながら、少年の頬を両方の手のひらで包み込みながら自身へ顔を向けささると、自分が出した滾りでぬらつく小さな唇に、何の躊躇いもなく自身の唇を押し当て、舌を捩じ込んだ。
　温い舌が触れ、舌先からジワジワと美味くは無い味が広がる。
　よくこんな物を好きこのむもんだと思いながら眉を寄せ、唇を離した。
「一人で家に帰れるか？」
「らい、じょ……ぶ、です……、すぐそこ、なんで……」
　ぽやりとしたいつもより幼く見える顔が、相澤を見上げる。
　呼び出したここは、少年の自宅から歩いて一分もしない場所だといえ、このまま一人で置いていくのは気が引けたが、次の現場までの時間が無い。
　合理性を考えて選んだ場所だったが、背徳感が興奮を底上げしたのは事実だ。欲に任せ、無理をさせた自覚もある。
「先生、行ってください。俺ちゃんと一人で帰れるんで」
　相澤は名残を惜しむように、少年の顔に残る行為の残滓を自身のヒーロースーツの袖でぬぐい、身なりを整えてやると改めて少年の身体を抱き寄せた。

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「あー……湯冷め、させちまって悪かったな……」
「いえ、風呂入ってから先生に会いたかったんでタイミングバッチリでしたよ」
「またちゃんと風呂入れよ」
「それは、どうしようかな。このまま先生の匂いに包まれて寝たいです」
「それは、色々やめろ」
「わかってますよ。……終わったらちゃんとお風呂入ってくださいね」
「そんなに匂うか？」
「匂うっていうか、先生の匂いがいつもより濃いんで、エロい事ばっかり考えちゃって困ります」
「……、あ、うん……そうか」
「すいません、引きましたか？」
「いや、あー……引いてはいない」
「……先生、照れないでくださいよ」
「じゃあ、また明日学校で」
「はいはい、明日もご指導宜しくお願いします」
「うん、はい。また明日」
　絡めた指を解きながら、連れていけない温もりに名残を惜しみながら、相澤は夜を駆け、呼ばれた現場へと向け捕縛布を飛ばした。

-了-