ひるましごとをさぼって職場がある町を散歩した。その帰りに職場の近くにしらない住宅地をみつけた。ふるいほうのたてものをみると、昭和40から50ねんだいに分譲されたようだ。なかを軽四1台がはいってくるとあるくひとは立ちどまってやりすごさなければならないくらいの細い道がまっすぐとおる。工事がくりかえされたせいで路面はでこぼこしてあるきづらい。北の職場にむかっていたら、十字路にでた。そのみぎおくの隅だけあたらしくできたせまい公園だ。道に面した花壇にめづらしい派手な花がさいているのをみつけて写真にとった。
職場にもどって会社のひとに花の写真をみせたら、上司が気に入ってじぶんも見にいきたいから近所なんだったらすぐ行ってまわりの様子がわかる写真を何まいかとってきてくれとたのんできた。それでまたあわてて外にでた。
さっきの散歩の行きにあるいた川の土手の道をみなみへむかい、とちゅうで西にまがれば目あての公園へ出られるだろう。それで適当なところで土手から下りた。
その後ふりかえるとあとから職場のなかよしの2人がおいかけてさっき下りたかどを下りてくるのをみつけた。すこしいじわるにかんがえて、いまは場所をしられないほうがよさそうだと遠まわりし、そばのショッピングセンターをつかって2人をまいた。

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そのときアプローチに映画のポスターが何まいかならべて貼りだしてあるのに気づく。ここに映画館があるのはしらなかった。

ぶじさっきの公園をみつけだしてまわりの様子を写真にとった。これからもどっても終業じかんには間に合いそうにないのでここからうちに帰ろう。そしてそのまま西へあるきつづける。ふだんは自転車でかよっているが、あるいていけない距離でもない。
住宅地は西へほかの方向よりもながくひろがっている。ただしこっちは空き地ばかりだ。しろい砂っぽい土はやせていて、雑草もあまり生えていない。夜空には星がみえる。ひさしぶりにみたな。東京じゃまづみえないから、ここはちがう場所だ。どこかはわからない。
そこをぬけてもうちはまだまださきだ。あまくみていた。北から川が近づいてくる。西へながれるこの川を西へわたった向こうにあるんだ。
いまあるいている小道はこのまままっすぐその川につながっていく。その水をひいた用水路を暗渠にしたものだとわかる。さいごは後付けのスロープで土手のうえに上がる。そこに歩道橋が架かっていて川を北へわたれる。橋は反対にものびていてこの小道とならんで南をはしる街道にも下りられる。その南がわの高台まで橋はとおっている。そこには団地があるんだ。
ぼくは街道へむかうことにする。そのほうがまだ近い。

かなりながいだらだら坂のスロープをとちゅうまで上がったところで、街道とのあいだにある建物の1階がおおきくあいていて、そこから明かりがでているのが目にはいる。なかで輪転機が回っている。新聞屋だ。聞いたはなしだとこのじかんは編集部であす朝刊の紙面はもうできあがっているもののまだ締切まえで、おおきなニュースが直前にとびこんでこないか待っている段階だったはずだ。配達店であんなにたくさん刷って大丈夫なのか? といぶかしくのぞきこんだら目がさめた。

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