そのときアプローチに映画のポスターが何まいかならべて貼りだしてあるのに気づく。ここに映画館があるのはしらなかった。
ぶじさっきの公園をみつけだしてまわりの様子を写真にとった。これからもどっても終業じかんには間に合いそうにないのでここからうちに帰ろう。そしてそのまま西へあるきつづける。ふだんは自転車でかよっているが、あるいていけない距離でもない。
住宅地は西へほかの方向よりもながくひろがっている。ただしこっちは空き地ばかりだ。しろい砂っぽい土はやせていて、雑草もあまり生えていない。夜空には星がみえる。ひさしぶりにみたな。東京じゃまづみえないから、ここはちがう場所だ。どこかはわからない。
そこをぬけてもうちはまだまださきだ。あまくみていた。北から川が近づいてくる。西へながれるこの川を西へわたった向こうにあるんだ。
いまあるいている小道はこのまままっすぐその川につながっていく。その水をひいた用水路を暗渠にしたものだとわかる。さいごは後付けのスロープで土手のうえに上がる。そこに歩道橋が架かっていて川を北へわたれる。橋は反対にものびていてこの小道とならんで南をはしる街道にも下りられる。その南がわの高台まで橋はとおっている。そこには団地があるんだ。
ぼくは街道へむかうことにする。そのほうがまだ近い。
かなりながいだらだら坂のスロープをとちゅうまで上がったところで、街道とのあいだにある建物の1階がおおきくあいていて、そこから明かりがでているのが目にはいる。なかで輪転機が回っている。新聞屋だ。聞いたはなしだとこのじかんは編集部であす朝刊の紙面はもうできあがっているもののまだ締切まえで、おおきなニュースが直前にとびこんでこないか待っている段階だったはずだ。配達店であんなにたくさん刷って大丈夫なのか? といぶかしくのぞきこんだら目がさめた。