ゆるやかな丘のてっぺんに学校がある。しかし建ものは1階か2階しかない。のこりは地下にあるらしい。天気はくもっている。そのわりにあかるい午後のことだ。
学校の手まえにはあさくて広い谷がひろがる。道路がその空間をとりまいて両がわの尾根へのびる。
生徒がばらばら外に出ていた。ぼくもそのなかのひとりだ。なにもせず谷から吹くかぜにあたる。ほかの子はガードレールをこえて谷の草はらへおりてぶらぶらしていた。それにそそられてぼくもおりてすこし歩いてみた。なんてことないままほかの子たちのあいだをぬけておりていくと、谷はすり鉢形で、反対はまたおなじようになだらかにのぼっていた。
らくにあがれそうに見えたのでそのまま上がっていった。さいごにやっぱり道路わきのガードレールが現われた。しかしこっちはすこしたかさがあってのり越えるのは大変そうだな。
とつぜん学校のほうからサイレンがながながと谷間にひびいてきた。そのあとアナウンスで生徒はみな校内へもどってくるようにしらせてくるのを聞くなり、外に出ていた生徒たちはいっせいに学校からはなれていく方向へてんでばらばらに走って逃げはじめる。ぼくもそのけしきに押されてガードレールをこえて上の道路に上がった。先をみると向かいには駐車場と、なにかお店らしい建てものがひとつある。
ふるびた外観の3階だての建ものは奥にむかってのびて立つ。せまい手まえにあいたそっけない入口からなかにはいると通路がまっくらだ。もぬけのからの空きビルにはいったかもと立ち止まる。目がなれてくると、両がわにかべで区切られ、それぞれにとびらのついた店舗スペースがならんで営業しているところもあるのが見えてきてほっとした。というゆめをみた。