タコピーの最終話、とてもきれいにまとまった反面物語の外側というか、画面の外側については全く気にかけてなさそうで「きれいな箱庭みたいだな」と思ったんよな。
この傾向は作中ずっとあって、それはやっぱり作者の描き方がそうだからで好みの範疇になる。「他者の視点からに感じる心情描写」「物語の外側を汲み取りにくい画面演出」「タコピーという異星人視点」等々。読者の関心を上手く誘導してるとも言えるし、別の視点を追わせないつくりとも言える。
この描写の仕方の影響もあると思うんだけど、テーマも作中のメッセージも優等生の回答で当事者目線では無いよなと感じてしまう。『大勢に当てはまる正しい回答』で『一人だけに当てはまる最適解』では無かったし、現実に近しい境遇だったら多分「それが出来たらこうなってねーよ!!!!」ってキレてた。

描写もメッセージもどこまでも当事者ではなく客観的な位置からのものに感じてしまうのが消化不良の原因かなと思ってる。でもそれは転じて、大衆には分かりやすく受け入れやすい内容なんだよな。

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恐らく自分が一番納得していないのはタコピーの内容よりも、この作品が「鬱作品」「考察が深まる作品」として認知されてるところ。途中までは作者と闘ってたけど後半はほぼ読者の反応を倦厭していた。
タイザン5氏がそこまで読み手の把握と予想をした上で、辛い環境に置かれた子供たちをそうやって消費する読者を揶揄するようなメタっぽい終わらせ方をしていたら性格悪すぎて大好きになってたな………というか若干これを期待しつつ読み進めていたけど、めちゃくちゃストレートに模範的な回答を出されて作者と決定的に反りが合わないと理解出来たんだよな。作中のタコピー、美化された読者たちだからもっと精神的にボコボコにされてほしかった。

ただ3人の境遇の酷さも含めたエンタメとして見るととても面白かったし、作者の意図とは違う方向だろうけど感情を揺らす作品で楽しかった。それとは別に、テーマとメッセージは表層的であのハッピーエンドは大衆への救いで当事者の絶望では?と思えるのでヒューマンドラマとしては評価できないです。

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