面白かった!
漫画風の挿絵が新鮮。この挿絵の意味が序盤ではよく分からないのだけど、読み進めると夢の中の出来事だとわかる。夢の描写と文章の距離感が絶妙で、挿絵の直前直後で夢の内容に触れられるのではなく、読み進めて挿絵の内容を忘れかけた頃に文章で言及がある。その距離感が、見た夢を忘れてしまう実態と重なって、リアルだなと。
それから、読んでる途中で何度か「これ新型コロナの前に発表された作品だよね?」と驚かされた。文庫版あとがきで作者も触れているように、2019夏に作品発表で新型コロナが発覚したのはその冬。刊行時期が神がかってる。
あと、純粋に第一章がめちゃめちゃ面白い。設定とテンポが良くてオチが痛快。サラリーマンしてる主人公岸、もっと見ていたかった。
スピンオフで夢の方(いや現実の方?)の3人視点をメインにした小説も読んでみたい。終盤にはそういうシーンもあったけど。もっと。あ、過去の感染者で製薬会社勤務の彼と、池野内議員の元妻も気になる。2人も夢の中で戦ってたのかな。
『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎
#読書 #読了