JW4見たあと書き始めたやつ見つけた。未完中途半端
遅番も終わり始発電車で家に帰れば、誰もいないはずの我が家から人の気配がした。気配を殺そうとして殺しきれていないのではない。ただその場にいるだけで、先日ようやく口説き落とした恋人か、いや彼女に合鍵は渡していない。大阪コンチネンタルのコンシェルジュに抜擢されてから最年少ということで崩しやすいと見られているのか襲撃も多い。家にまで入り込まれるようなヘマをした覚えはなかったが、袖口から手のひらに仕込みナイフを滑らせてコウジは普段通りの気軽さで玄関の鍵を開けた。
「……って野良犬やん」
一目で部屋中を見渡せる構造の家を見渡せばリビング部分のソファに泥だらけ血まみれのジョン・ウィックが身を丸めて寝ていた。恋人が好きだと言っていたのでこっそり買って驚かせようと思っていたデザイナーのソファーカバーは無惨な目に遭っている。どうしてくれようとこめかみをおさえていると、無視していたシャワーの音が止まり、ぺたりぺたぺたべちゃりと不規則な足音がした。ラグもだいぶ奮発して買ったものである。思わず仕込み刀に手を伸ばしかけ、待て待て、壁紙まで傷つけるわけにはいかない。