五作目、女としては「片輪」だと罵られて、だけどそんなことは無いと最後にはまた話されるのだけど、任侠の世界に入ってしまったからにはそこから抜け出すことは出来ない、仮に抜け出せたとしても変わらないのだ、まで描いてた。シリーズ通して語られる内容と言われるとそうなのだけど。仁義の掟で斬り殺した子供の親代りをした三次が、「自分が親だと信じてもらうより子供を「親無し」にしてしまった男だとわかってもらったほうがいい」て気持ち、しっかりしているというか矜持みたいなのを感じて好きだった。熊虎親分の弟分のお竜さんためならの行動の早さに思わず笑った。小城さん(丹波氏)の白スーツがまたびっくりしたし、立ち位置の絶妙な所がまたそれらしいなと思った。お香代ちゃんを可愛がる場面普通ににこにこしてしまったこういう場面に弱くて…
冒頭の女郎小屋にいた子にお金を渡してこれで国にお帰りて伝えるのだけど、その子はこれを国の父親に送って妹を身売りさせないように出来ると御礼を言ってお竜さんは複雑になる場面があって、お竜さんは自分の行動があの子の自分でどうにかしていく力の妨げになったのでは?と後悔するのだけど、常次郎さんは貴方は貴方のしたいことをしたのだからそれでいいじゃないですかみたいなことを話してて、そうだよー…となったりした。お竜さんは目の前に居る不幸な人々を全て救いたいと願うし行動するけど、それは出来ない(しそれは今までの作品全てそうなので…)けど、行動しない理由にもならないからこそ、お竜さんは格好いいんだなと思った。
お君ちゃんが抜擢された舞台(ただその経緯は見てて落ち込んだ)で彼女が「貴方は、運命、運命と仰るが運命は自分で切り開いてゆくものではないのですか」みたいな内容の台詞の場面でお竜さんのアップが映るのも、それが彼女であるからなんだろうな。ここも好きな場面だった
七作目、クライマックスの対決場面も視点が低くて全体を映してるの新鮮だった。公害による農家達の被害とそれを揉み消す軍人と工場長という図もいつもと少しだけ違う。悪人はずっと悪人している。あらすじの「ヒロインの悲恋」に全然気付かずこれはそうだったのか…となった。
八作目、シリーズ最後は逆に原点に戻ったあらすじだった。お竜さんは皆の幸せ、特に女性への幸せを願い行動するけれどそれは尽く打ち砕かれてしまうのがもはやお決まりになってしまってるのがつらい。「貴方はこの世界に居ることしか出来ないと思っているだけだ」みたいな話を北橋さんがしてたしそれはそうだと見てる私も思うけど、お竜さんはこの世界を去ることはないのではと思う結末のように感じた。熊虎親分も活躍してたの嬉しかった。北橋さんがお竜さんに制止の意味で腕掴まれたことを一人ふと思い出して打ち消すように布団被るところ切なくなったしこういう描写に弱い(お竜さんと相部屋になってしまって色々あって押し入れに寝ている所も含めて)
六作目、三作目の後日談なので物語に普段よりさらに背景があるためかとても面白かった。そこにいる娘さんが自分の探し人のお君ちゃんと解るまでの長回しとその場面に居る人達全ての顔を映す画がめちゃくちゃ格好よくてすごいーっって興奮してしまった…。加藤泰監督作品の遠くから映したり地面辺りから映したりする場面の完璧さみたいなのが格好いい…決まった画が出てくる度にそう思った。
明治中期の浅草のもあってか建物が和洋織り交ぜで全編通して華やかなのも印象的だった。クライマックスの対決も洋風の塔?の中で行われるのも新鮮。
オープニングからお洒落というかストイックで格好いい。監督の文字が出てくるタイミングでわああっとなり楽しくなってしまった。クライマックスの対決場面は西部劇ぽい映し方。常次郎さんが逆光で階段から敵に向かってゆっくり降りてくる場面も決まってた。少し話に聞いてた橋のお別れの場面も素敵だったな。雪の降る夜に歩く二人の映し方どこも格好よい
熊虎親分の可愛さが今回特に際立っててにこにこ止まらなくなった。作品内の変わらない優しさのひとつで安心するのもある。「かわいいこと言っちゃって…」て言う本人がかわいすぎた…あいどるのよう