『流転の王妃』のねたばれ含む感想とか
皇帝の弟と政略結婚させられた女性の物語で、周りの家族や国や時代の求めることに応えていくしかなく翻弄されていく、題名のとおり流転していく物語だった。置かれた場所で懸命に過ごし働き小さな幸せを感じながら生きることの幸せや大切さを感じたけれど、時代や周りの人間や国がそうさせている部分は確かにあるので、やるせない気持ちにもなった。冒頭の絵を描くのが好きで教室の帰りに笑顔で祖母に話している竜子を見ているから尚更そう感じる。「ナイナイはね、絵を習いに行くのが一番楽しかったの」「そこへ行くと色んな寂しいことを忘れたのよ」と話す竜子がその前に絵を描いている場面が好き。(その後に子供から私が居ても寂しいの?と聞かれて寂しくないと話してる場面も含めて)
王妃という存在でもあるので、庶民の人達への感情も少しだけ触れていたけど、ある場所から見た戦争時の記録みたいな感じがあったかな。
戦後やっと暮らしも安定してきた頃に娘を亡くした竜子が「春からただちに冬に飛んでしまった私の宿命を哀れと思って下さい」と手紙に綴る場面で何だか涙止まらなくなってしまった。その手紙に「自分を責めるのはやめなさい」と書く溥哲の言葉に少しだけ救われたりもした