300字のお話を書きました。
トゥインクル、トゥインクル、リトルスター :blobcat_shootingstar:

Twitterの「毎月300字小説企画」さんより7月のお題「きらきら」をお借りしています。
twitter.com/mon300nov

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「星渡り」 

 水盆に割れた貝のかけらを敷き詰める。砕けた金銀の砂子を指先に飾る。
 行き止まりの部屋の行き止まりの窓辺に身を寄せ合って、ふたりのこどもはほほ笑みを交わした。
「もうすぐかな」
「もうすぐだよ」
 水鏡の内側では回転する銀河が時を数えている。たなびく尾の先は冷えゆく巨人の心臓の在処を示して、その時がまもなく訪れることを知らせていた。
 ひと連なりの海、ひと連なりの空、光の波音が忍び寄る。まつりの最後の晩を越えて、こよいの先へと星たちは渡る。
 迷わぬように、恐れぬように、ふたりのこどもは手を取り合って、月影が窓のかたちに落ちる真夜中を待っていた。行き止まりの扉が開かれるその時を待っていた。

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