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『にっかり青江単騎出陣』を観ました。 

ブルーレイ収録の2022年秋・香川公演(大千秋楽)と特典映像のメイキング(稽古期間を切り取ったもの)を観終わりました。
私は公演期間に「2021年春初日公演の配信」→「2021年春大阪公演の無観客配信」→「2022年秋大阪公演」と3公演観ているのですが、今回観た香川公演を含めて公演ごとに思うことや感じることが多い作品だったな、と思います。

公式サイトの出演者の項にはにっかり青江役の荒木さんのお名前しかなくて、アンサンブルさんのお名前等の明記がないのですが、それを当時観たときに「もしかして、舞台上にひとりしかいないパターンなのかな?」と思っていたら、本当にそういう構成演出の作品で初日公演配信を観たときにちょっとびっくりしたのを覚えています。
演劇においてひとり芝居は珍しいものではないものの、ミュージカル刀剣乱舞は本公演以外の大型公演でもたくさんの刀たちが一堂に会しますし、今回の公演と同じく「単騎出陣」「双騎出陣」と銘打った過去公演でも少なくともアンサンブルさんは舞台上に存在していたので意外だったんですよね。→

『にっかり青江単騎出陣』を観ました。 

本当に舞台上にいるのはにっかり青江だけ。映像演出の力も借りてはいるんですが、それは本当に限られた箇所だけで(戦闘シーンにおいて敵の出現を映像で見せる…等)、基本的にはにっかり青江ただ一振りがこの物語を回していく…というスタイルです。
そこで描かれるのがにっかり青江が修行に出て以降なにを見て感じて、どんなものと向き合っていくのか…という長い旅の行く末。それもどうして修行に出ようと思ったのかのきっかけを振り返る場面もあったりとかなり丁寧な作りになっていて、端的に書くとたった一振りの修行の話ではあるものの、その分結構濃く深く一振りの刀の姿を追い考えていけるというのが個人的にとても贅沢な時間でした。→

『にっかり青江単騎出陣』を観ました。 

あと、この公演において外せないのがにっかり青江が修行から戻ってきたときに歌う「あなめでたや」という楽曲。
この曲は2019年11月から2020年1月まで上演された大型公演「歌合乱舞狂乱」のラストで歌われる曲なんですが、鍛刀によって新しくやってきた刀を迎え入れた本丸の刀たち全員で歌う祝いの歌なんですね。
けれど、この「歌合」の大千秋楽カーテンコールでにっかり青江は少し観客側にいる審神者に対して違和を感じさせる挨拶を短くして終わります(具体的に書いてもいいのですが、できればその辺り知らずに「歌合」に触れてほしいので書きません)。当時、「歌合」大千秋楽を観ていた私も「んんん????」という違和感はあって、けれど、「歌合」がミュージカル刀剣乱舞でいうところの大型公演(音楽ライブがメインのお祭り要素が強めの作品)にあたるものだったので、お祭り気分で高揚していてその違和感をあまり深く掘り下げないままでいました。→

『にっかり青江単騎出陣』を観ました。 

それが、その違和感の正体がなんであったのかがこの「にっかり青江単騎出陣」の中で描かれ、そしてラストで晴れ晴れしい顔で「あなめでたや」を歌うにっかり青江につながったときに、「歌合」で感じた違和感へのアンサーが明確に提示されて目が覚める想いがあったとともに、もう本当に込み上げてくるものを堪えきれずに号泣しました。というか公演観るたびに我慢できずに涙が出てくる。それぐらいぐっとくる場面です。
そもそも、「あなめでたや」自体聴くと泣けてきてしまう私の中の涙腺決壊ソングなんですよ…それをこの作品のここぞ!というところで歌われては涙も溢れるというものです。→

『にっかり青江単騎出陣』を観ました。 

最後に、ご存じのない方に説明すると「ミュージカル刀剣乱舞 にっかり青江単騎出陣」という公演は2021年春と秋、2022年春と秋、計4回に分けた公演期間を設けた作品であり、随所随所でコロナ禍や自然災害の影響により公演が中止等になった作品です。また、舞台演劇(とくに2.5系に分類されるジャンル)においては珍しくかなり多くの地方を巡って公演を行った作品でもあります。
作品の中で描かれるのが修行の旅であり公演自体いろんな地域へ行くこともあってか、コロナ禍でなかなか旅行もままならない状況下の中にっかり青江とともに旅をしている気持ちで楽しんでほしいと、公式がInstagramで各地域の公演の様子を音声で少しだけ流してくれる企画してくれたのが印象的でした。→

『にっかり青江単騎出陣』を観ました。 

おかげで、すべての公演を観ることができたわけではないですが、Instagramの企画は毎公演追って楽しめましたし、計4回の公演期間が始まるごとに「今、にっかりさんの旅はどのあたりだろうか…」と思いを馳せる機会が持てて、(コロナ禍で疲弊していた分)個人的にはすごく助かったしありがたかったです。
円盤が届いたことでこの長い長い旅も本当の意味で終わったんだな、という思いもありつつ、けれど、円盤が届いたことで繰り返し繰り返し観て旅の追体験ができるようになったわけでもあるので、また、にっかりさんの旅を追いたくなったら円盤を再生しようと思います。

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