フォロー

よく分からない不死鳥キヨミツくん 

「おれ、不死鳥なんだよ」
囀るようにその青年は言った。
「ほんとうだよ。しんでも卵からまたよみがえるんだ」
尾長鶏のように長い濡れ羽色の襟足を床一面に広げて微笑む彼の方へ則宗はようやく視線を移しその頬にそっと触れた。
「お前さんはその話ばかりだな」
「だってほんとうなんだもん」
不死鳥、鳥・・・・・・という割には翼も嘴もなく手足も人間そのものだ。これを鳥と呼ぶことは則宗には到底できなかった。
「空は飛べんのか?」
「飛べるよ。でもここら辺は人が多いから飛んだらみんなが驚くでしょ」
それにおれが羽根を広げるにはここは少し狭すぎる、とぼやく。
「ならいつか誰もいない山の中で見せてくれないか」
則宗がそう尋ねると清光は破顔しながら「うん!」と答えた。その髪は陽の光を浴びて炎のようにきらきらと輝いていた

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。