虚構推理『岩永琴子の逆襲と敗北の日』ネタバレ
「柊のため」とか格好良い理由をつけつつ、実際はサークルの"みんな"と同じように柊という女にアプローチをしなければ「逃げた」と思われ、見下されたり仲間外れになってしまうという非常にホモソーシャルな理由で「挺身」「愛」「自己犠牲」だのと言っていた男達はおそらく岩永を守るために体を張っている九郎の対比になっていて、キリン自体も早くに死にそうな岩永と、死ねない体の九郎と重ねられている。
同じ巻に収録されている短編の犯人は「自分には崇高な使命がある」と信じ込んでいた多恵さんの、たちの悪い再演であり、何より九郎のアナザーだと思われる。
個人的に『スリーピング・マーダー』の音無澄は岩永琴子のアナザーなのでは?と疑っているので(父親の音無伝次郎が『秩序』かな)ここらへんもアニメで見返したらまたなんか向き合い方がわかるかも。
九郎本人もそれらを愛とか恋とは思っていないわけで、自己評価もえげつないし、本当にむちゃくちゃハードボイルドなんだよな…