ミュージカル『スクールオブロック』@東京建物Brillia Hall
家を出る前に改めて券面を見たらチケット代、14,500円!? って二度見してしまった。もうミュージカルとか大きめの興行のチケット代に二の足を踏むようになってしまったよ。貧しいね……。
上演前・幕間・終演後の場内撮影とカテコの撮影OKだったけど撮影媒体はスマートフォンに限るっていうのが不思議なレギュレーションだなと思った。カテコ撮影OKの合図のときに柿澤さんは一眼だと毛穴とかうつっちゃうから〜みたいなこと言ってたけどどういう理由なんだろ? 機材揃えて撮られると闇写的な商売が出てくるとかしか思いつかないけど、きょうびスマホの画質もなめられないよな?とか余計なことを考えてしまった。上演前のスクリーンとかめっちゃださいんだけどBlurとかThe WhoとかThe Smithの名前が浮かび上がったときはさすがに撮ったよね……。
ミュージカル『スクールオブロック』@東京建物Brillia Hall②
ストーリーはけっこう古典的というか王道で、デューイのキャラクター造形含めてちょっと古さも感じるなと思ったけど(映画は20年前、舞台化も10年前とかだしそれは納得する)音楽の問答無用の楽しさが勝ってしまうな〜。わたしはほんの一部しかわからなかったけど、ロックミュージックへのオマージュが散りばめられてたりして、しっかりロック知ってたらもっと楽しいだろうなと思った。MR!もだけど椅子に座っておとなしく観てるとむずむずするようなミュージカルだった。デューイのやり方や考えを全面的に支持することはできないけど、「自分たちの〈怒り〉を解放しろ」というメッセージは響く。各家庭の問題やデューイ自身の問題がころっと解決して大団円になるという細やかではないストーリーも、とはいえグッとくるというのは、つまり「ロックンロールの魔法」を体感する作品なんだなと思う。
ミュージカル『スクールオブロック』@東京建物Brillia Hall③
『ハルシオン・デイズ』がおもんない&それはないだろと思う価値観の作品だったから鴻上さんに対して構えてたし、今作で評価変わったとかも特にないので、完全に楽曲の力と柿澤さん(の役者としてのパブリックイメージ)に合った役柄による楽しさだと思う。劇中にゲイの夫夫(と思われる)が出てくるけど、『ハルシオン〜』のゲイ表象がよぎって渋い顔になったし。あと個人的にスクリーンに映像をうつして背景にしてるともうそれだけで萎えてしまうくらい苦手……。白っぽいのっぺりした映像が出てるのださいんだよな〜。場転が結構あるからかもだけど、デューイの部屋のポスターとか紙の質感で見たかった。そういえば、(生徒に渡すCDにもあったけど)ボウイのジギースターダストのポスターが貼ってあって、ロッカーってみんなジギースターダスト好きだね???と思った。
ミュージカル『スクールオブロック』@東京建物Brillia Hall ④
今回のプロダクションだと劇中がいつ設定なのかはちょっと気になった。台詞で「スマホを勝手に見るな!」って入ってるから現代っぽいけど……まあそこまで気にしながら観るものでもないか。「ロックンロールは反体制の精神」っていう作品をつらぬく思想が2023年だともうそうじゃないことを考えてしまうから気になるのかも。たぶんいまだと反体制と結びつく音楽ってヒップホップのがしっくりくるし。
ロイドウェバーの天の声で幕開きなのがちょっと面白くて、BWでもそうなのかなと思って調べたらなんなら本人が登場して口上を述べてたみたいなブログを見つけて笑ってしまった!面白作曲家ロイドウェバーおいたんじゃん。♪ If Only You Would Listenみたいな曲を好きになってしまうよロイドウェバー。
デューイは完全に自分のためにバンドをやらせようとしたわけだし、そのほかの言動も別に両手あげては支持できないというかむしろ全然支持できない要素の方が強い、んだけど、劇中では香ってくる程度でつまびらかにはされないバックグラウンドがなんとなく彼を捨て置けないキャラクターにしているとおもう。
こどもたちにロックを強制してるふうにも思えるけど、こどもたちにしたってあのタイミングで出会ったのがたまたまデューイだった、のめり込んだのがたまたまロックだった、ってことでみんなが楽しんでやってるのは間違いない(現実だとクラスの何人かは「強制」を感じて後ろ向きになるだろうとは思うが/劇中にもサマーの反発がちょっとあるけど種類が違うかな〜と)
2回目(柿澤・太田・はいだ、子役は前と同じ)
やっぱりストーリーはかなり力業だなと思うし特にパティの描かれ方に不満が残るけどこれだけエネルギーを受け取れる作品もないっていうか…… 子役の(お芝居はどうしても粗い部分があるけど)演奏のときのあのきらめきすごいなと思うし、この消費の仕方もどうなのかと思ったりしますが。
デューイってたくさん動いて歌って、ってとこが目立ちがちだけど、ゆらいだときの瞳の動きとか芝居が絶品だなーと思った。ナイーブな心の表現が「本物」として入ってくるのが柿澤さんの芝居の好きなところなのかも。
あと太田もっくんがおもしろすぎて優勝だった。もっくんてそもそもこういうちょっと情けない感じが妙に似合うけどそこにさらにギャ男属性が活かせて適任中の適任っていうか。しょうこおねえさんはコメディと真剣な芝居の使い分けが見事で、余計にパティの描かれ方もうちょいなんかあったんじゃない?と思ったな〜。