虐待を受けている患者を弁護士が病院から引き出そうとした直前に利用者が不審死を遂げる。2016年に僕が内部告発した介護施設「ル・レーヴ大宮北」でも同じことが起きた。

 虐待を何度施設長に報告しても対応されることはなく、仕方ないので直接本人を咎めたところ、本部に通報され僕が指導を受けた。これでは埒が明かないとさいたま市役所の介護保険課に、既に退職していた同僚と共に内部告発を行った。

 市役所が施設に内部調査(監査の1つ前)に入ったものの、事前通告があったため、職員同士の口裏合わせや資料の改竄が行われ、また、話を聞いた利用者も施設が決めた当たり障りのない人だけだった。内部告発を理由に既に僕は解雇されていたものの、その情報を得て、再度介護保険課に連絡。虐待を受けていた当事者から直接話を聞くように要請した。続

ルポ 死亡退院 〜精神医療・闇の実態〜
nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/

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 さいたま市役所介護保険課は、僕の要請を受けて二度目の内部調査を決定、虐待を受けていた当事者からも話を聞くことになった。しかし、二度目の内部調査も、施設に事前通告が行われた。

 二度目の内部調査が入る前日朝、虐待を受けたと僕に訴えた90代の利用者は亡くなった。医師の診断は「誤嚥性肺炎」。前日まで発熱も何もなく、一切症状はなかった。その前日の夜勤者は、虐待をしていると僕が訴えた職員だった。

 僕は、警察に告発すべきだったのだろうか。この手のニュースを見るたびに心が乱される。

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むずかしい事例のようですね。組織ぐるみの「犯罪」で、監督省庁も半ば「ぐる」となると、何をやっても正義は実現不可能にも思えて……。

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