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エッセイアンソロジーって面白いよね。あたしは以前『餃子』っていう、餃子についてのエッセイ集を持ってるんだけど、特に好きで印象に残ってるのは室井佑月の一篇で。

息子と「死ね!」「殺してやる!」レベルの殺伐とした喧嘩をするのに夕飯の時間になったらご飯を作って一緒に食べる、みたいな話なんだけど。

【以下引用】
 喧嘩した後、あたしは息子に訊ねてみた。
「あんたさ、ご飯の中に毒とか入れられているとは思わない?」
すると、息子はしばらくあたしを呆然と見つめた。
「……あんた、そんなこと考えているのかよ。俺はそんなこと、いちども考えたこともなかった」
 そうなんだ。腹の中で温め十カ月、一緒に暮らし十数年。いつの間にか、そこまで信頼されていたのかと驚いた。かつて、男からそこまで信用されたことがあったっけ?
(『アンソロジー 餃子』杉田淳子・武藤正人編、井上肇発行、株式会社パルコ、2016年、185頁)
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他のに比べると「餃子」感は薄いんだけど、これが一番ずっと頭に残ってる。

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