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「儀式外で死んでも、お終いにならないのだね」
「え。」
特に何も考えず、焚き火を見ながらぼんやりとしていた。けれどよく通る声からか、内容からか。青年の耳にはっきりと届いた。隣の吟遊詩人は徐にリュートを仕舞い、丸太の隣へと腰掛ける。
「いや、この間死んだのだけれど。すこしだけ期待していたからね、なんとなく拍子抜けというか」
「何、を。」
「永遠の別れというやつさ」
なんてことのないように、吟遊詩人は笑う。ただ、平生のように歯を見せることはなく、愛想笑いということは直ぐにわかった。
「まぁでも、ここに囚われている人数からして、そんな気はしていたよ。皆が皆、不慮の事故で死なないとも限らないじゃないか」
青年は黙っていた。以前の茶話会の感触から、あまり口外すべきではないと感じている。それは吟遊詩人も同じようで、声を顰めて続けていった。
「クーヴェ、キミはどこまで知っているのかな」
「…….やめてよ。」
「ああ、すまないね。気分を悪くしたなら謝る。この話題もやめておいた方がいいのかな」
「うん……」
じゃあ内緒にしておこう、そう言ってまたリュートを取り出す。弾き始めた聴いたことのある旋律。靴で丸太に足をかけるのやめて、とだけ言った。

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