件の僕の店に住み着いた紫と鈍色を持つ子だが、どんなに手を尽くしても出ていく様子がなく僕の使い魔まで自称し始める始末。…白状しよう、僕の方が根負けした。
紫祇、と新しい名をつけてやったらそれは嬉しそうに瞳を溶かした目の前の子を見て、在り方を歪められたのに喜ぶなんておかしな子だと笑ってしまった。
まあ多分…彼が僕の店に辿り着いた時から僕の負けは決定していたんだろうなと思う。
せいぜいこんな面倒臭い僕に愛想尽かした頃にそれでも傍を離れられない己の選択ミスを悔いるといいさ。…君はそんな未来は訪れないと笑うのだろうけどね。