「お前ははじめの日から、なんにも変わっちゃいねえだろ。おまえは俺のことなんか、歯牙にもかけちゃいないのに、……」
「かけまくりだが!? なんなら物理的にかけたが!?」
「あれは俺が悪いだろう。謝ったし。……迷惑者でじゅうぶん遊んで満足したなら、もう――」
「ロナルド君。それ以上は怒る」
「……、」
「私だって、こんなことしたことないんだよ。たったひとりの人間のためにソファだのなんだの買い込んだり、来訪の予定に一喜一憂したりなんかしたことない。これは、君に変えられてるってことにはならないのか」
「え」
「あのベッドだって君のために買い直したんだ。君に似合う意匠で、かつ私が寝続けても死なないマットレスまで探した。……次の夜までベッドで過ごすことなんかなかったから、客室のマットレスに気をかけたのははじめてだ。これも、君に変えられてるってことじゃない?」
#読ドロ