負の歴史を記憶する、世界遺産の新カテゴリー 日本でも登録への動き
https://www.asahi.com/articles/ASSCW3JHRSCWUCVL03HM.html
《日本でも記憶の場による登録を目指す動きがある。岡山県瀬戸内市にある日本初の国立ハンセン病療養所「長島愛生園(あいせいえん)」だ。国によって患者の隔離政策がとられ、強制的な断種も行われた。世界遺産登録を推進するNPO法人の釜井大資(だいすけ)事務局長は「この場所には人間性を蹂躙(じゅうりん)した苦難の歴史がある」と話す。
しかし負の歴史を伝える療養所の語り部の平均年齢は90歳近い。
「将来的には残っている建物に語ってもらうしかない」
そう考え、築約90年の建物群の調査や保存を本格化した。2013年ごろから世界遺産への登録を目指すようになった。
病気による差別や偏見は、今でもなくならない。ハンセン病療養所を世界遺産にすることは、そんな世界へのメッセージにもなると考える。
「二度と繰り返してはならない権力による人権侵害、深刻な差別、それにもかかわらず人間性を失わずに闘った人たち。これらの記憶は世界中の人々に伝えていく意義がある」
記憶の場を、より良い未来につなげたいと釜井さんは考えている。》