ロシア軍のICBM発射、ウクライナ空軍が発表…西側当局者「ICBMではない」と情報錯綜 : 読売新聞
"ウクライナ空軍は21日、ロシア軍が同日早朝、露南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射し、ウクライナ東部の都市ドニプロを攻撃したと発表した。米CNNは西側当局者が攻撃に使用された弾道ミサイルはICBMではないと述べたと報じており、情報が錯綜している"
"ウクライナ空軍によると、ドニプロへの攻撃には極超音速ミサイル「キンジャル」1発、巡航ミサイル7発も発射された。巡航ミサイル6発を撃墜し、他のミサイルについても「重大な被害は出ていない」としている。ウクライナの英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」は、攻撃で住民2人が負傷したと報じた"
"ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はSNSで、攻撃に新型ミサイルが使用されたとし、「速度、高度、全ての特性が大陸間弾道弾だ。現在、調査が行われている。プーチン(露大統領)がウクライナを実験場としているのは明らかだ」と主張した"
Yahoo!ニュース エキスパート コメンテーター村野将さんのコメント - Yahoo!ニュース
"SNSに出ている着弾の映像では、6つのまとまった光跡が6回落下しているのが確認されており、この時点でウクライナが言う「1発」というのは誤りでしょう。同種の弾道ミサイルは少なくとも6発分落下しています。"
"一方、米当局が「ICBMではない」としていることには2通りの解釈ができます。第一に、専門家の多くは今回発射されたミサイルがRS-26である可能性を指摘してきました。RS-26は、2012年にICBMの定義である5500kmをわずかに上回る5800kmの飛翔試験が行われているのですが、その後の飛翔試験はいずれも2000km程度の距離で行われています。このことから、そもそも米当局はRS-26を「ICBM」と定義していない可能性があります。もう一つの解釈は、発射されたのがRS-26ではない別のミサイルだということです。"
Yahoo!ニュース エキスパート コメンテーター鶴岡路人さんのコメント - Yahoo!ニュース
"今回の件は、情報錯綜というよりは、「ICBM」と呼ぶことの意味をめぐる政治・外交上の思惑の錯綜という側面が強いのだろう。"
"ウクライナにしてみれば、ICBMが使われたことを喧伝し、ロシアが新たなエスカレーションに出たことを強調したい。それによってさらなる支援を得ることも視野に入る。対して米国は、今回のロシアの行動が、数日前に明らかになった米提供武器のロシア領内での使用許可への対抗措置だと認識されるのを避けるために、「新しくない」部分を強調したい可能性もある。発言の裏には思惑があって不思議ではない。"
Yahoo!ニュース エキスパート オーサーJSFさんのコメント - Yahoo!ニュース
"発射されたのはおそらく6年前に開発凍結されていたロシア軍の新型弾道ミサイルの「RS-26ルベーシュ」です。これはINF条約(中距離核戦力禁止条約)が生きていた頃から始動していた計画なので、条約の射程制限「500~5500km」に触れないように射程6000kmのICBM(大陸間弾道ミサイル)扱いで開発されていますが、事実上のIRBM(中距離弾道ミサイル)です。"
"つまりICBMを自称しているIRBMと見ればよいでしょう。そういう意味でICBMではないとしているだけで、ICBMと呼ぼうとIRBMと呼ぼうと大差はありません。"
"ロシアの意図はヨーロッパを射程に収めるミサイルをウクライナに落として見せてNATO諸国を威嚇する目的です。核弾頭ではなく通常弾頭ないし試験用の模擬弾頭だったのはそういう意味が込められています。"
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