フランスで勉強したのに、
フランス映画について、
あまり書く機会がなかった。
ハリウッド映画との大きな違いは、
芸術作品として作る、という
かなりマニアックな取り方の監督が
多い気がする。
だから、日本人の私から見ても、
人におすすめしてよいのかわからないことも。
敷居が低くて見やすいものとしては、
やはり「ロング・エンゲージメント」。
フランスとドイツとの戦争で、
婚約者が行方不明になった女性が、
戦場で何があったのか調べる、というストーリー。
メインは、残された未亡人や、恋人たちの証言。
その他に、生きのびた兵士からの手紙など。
主演は「アメリ」のオドレイ・トトゥ。
婚約者の役は、去年事故で亡くなった
ギャスパー・ウリエル。
これは、勇敢な戦争映画ではない。
生きて故郷に帰るため、
わざと手や腕を負傷した兵士を
軍が見せしめのために仏軍と独軍の間、
「ノーマンズ・ランド」に置き去りにした、
そういう戦争の愚かさについての話。
あらためて、この映画を見ると、
本当に亡くなったとは信じられない。
戦場の汚れて疲れた男たちとは対照的に、
彼は、少年のような、天使のような
描かれ方をしていた気がする。
恐怖のあまり、正気を失い、
「処刑が終われば、家に帰れる。
マチルドと結婚できる」と、無邪気に語る。
その美しさが、より戦争の悲惨さを
際立たせていたのだと思う。