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『マディソン郡の橋』が、なぜ不倫映画にもかかわらずあんなにも爽やかな恋愛映画に仕上がっているのか、ほんとうに不思議だけれども、今のところ「諸要素が計算され尽くされている」としか言いようがない。もっといろんな人の意見が聞きたいけれども。

 不倫は不倫なのだけれども、
 ・2人とも中年で外見的な(エイジズムとルッキズムに毒された世間の感覚でもてはやされるような)魅力を失いつつあり、その点で観客の妬みを買わない。
 ・軽薄な「夜遊び」「気の迷い」「性欲が制御できない」の類いではない関係であることが丁寧に描かれている。
 ・ロバートはフェミニストで、不倫へ誘っているわけでもなく、同意も求めている。
 ・家族を裏切ることはできないフランチェスカの右往左往する苦しみをしっかり描いている。
 ・現世で結ばれることを諦めたフランチェスカは残りの人生を家族に捧げて夫の最期も看取って家族の誰も傷つけていない上に、吐き気がするほど保守的で閉鎖的な田舎町で求められる「良き母親」像をまっとうして、十分頑張った。
 ・遺書で子どもたちに告白し、「家族に罪を正直に白状しないこともまた不誠実」という批判を封じている。
(続)  
 
 



(続き)
 メリル・ストリープの天才的な演技に脱帽する。視線から指の動きまで、0.1秒の単位で計算されている。夜にポーチで詩を読んでいたものの立ち上がって車へ走るシーン、キッチンで2人で並んで料理するシーンの、フランチェスカの胸の鼓動がこっちまで伝わってくる。2人の視線がからむだけで、どうしてあんなにセクシーな空気で画面が満たされるのか、ほんとうに匠の技。フランチェスカのファッションも印象的。あの絶妙な…ダサい丈のワンピース。「田舎に嫁いで忙しく生きてきた中年女性」ほんとうにリアル。
 
 ああいう閉鎖的な田舎町は、世界中どこにでもあるから、ああいう田舎がイヤでたまらない人の心をわしづかみにしたと思う。

 虫がめちゃくちゃたくさん飛んでいた。
 アイスティー、ソーダ、ビール、ブランデー、コーヒー…いろんな飲み物も出てくる。

 




 

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