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子どもたちと『許されざる者』を観た。
 フェミニズム映画であり、人権映画。
 数十年前にこういう映画を明らかに意図的に作ったクリント・イーストウッドは立派。思想的にあまり連帯できないタイプな気がするけれど、そこらへん不思議。ずっと「悪しき男らしさ」を糾弾して問いかけるイーストウッドに対し、世の男たちは何も応答せず逃げてばかりな感じ。
 
 作家にわざと銃を渡して撃ってみろと笑う保安官、恐ろしい。とんてんかんてんと大工にいそしみ、軽やかに会話して楽しげに暮らす保安官は、すごく「いい人」。でも少しでも自分の世界の秩序ないし自分にとって都合のいい「これでいい」感が乱されれば、常軌を逸した猟奇的なほどの暴力を振るう。さらに保安官は、西部開拓時代のガンマンなんてロクなもんじゃないことも作家に向けて暴露していて、自虐的にも思える。そういう「高み」からの視点も持っていて、その意味でもマッド。ジーン・ハックマンはやはっぱりすごい。
 主人公のマニーだって、「妻が自分を真人間にしてくれた」と言いつつ、最後まで「暴力で解決する人間」からは脱せない。去っていく彼を見つめる娼婦たちも、大量殺人を「感謝」しているわけで、結局みんな「許されざる者」。 
 モーガン・フリーマン大好き。




「人権を踏みにじったやつを殺す」映画。

 ほんとに面白い。
 自分に、というか全人類にブーメランのように跳ね返ってくる。あるいは刺さる。


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