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『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)を観た。

 ダニエル・デイ・ルイスがぜんぶ持って行くので、主演のディカプリオがかすむ。
 アムステルダムが、もっと亡父への思慕をつのらせたりビルへの復讐心をたぎらせているシーンがあれば、あれだけの血みどろの抗争になる展開への説得力があったのかなと思う。ディカプリオの表情があまり富んでいなかった。
 南北戦争に焦点を当てずにここらへんの時代のアメリカを描いた映画は、比較的少ない気がする。『エイジ・オブ・イノセンス』の時にも思ったが、「所詮」みんな移民なのに、なぜこんな分断が起きてしまうのか、正直言って呆れてしまう。一世代程度の差にもかかわらず、「先に住み着いた者」としての歪んだアイデンティティの強さからアイルランド移民を激しく差別して排斥するビルたちの異様さよ、、、
 1863年のニューヨーク徴兵暴動は史実だそうで、白人労働者の怒りの矛先が権力に向くのは分かるけれど、ヘイトクライムと化して黒人の虐殺に発展するのはほんとうに理不尽だし忘れてはいけない負の歴史。差別されている人たちがさらに差別する…







イギリスからの移民(ピューリタン)がアイルランド移民(カトリック)を差別し、白人が黒人を差別し…南北戦争の時代の北部といっても奴隷解放に反対していた人たちが少なからずいたことは、盲点、というか想像したことがなかった。
 ビルはひたすら恐怖で人をおさえつけることでサバイブしてきた、と語るが、そういう生き方がもう旧世界で、「新大陸」「自由の国アメリカ」に生きる人間として失格なのだと理解できないところが哀れ。ダニエル・デイ=ルイスの狂気じみた芝居に、終始ゾっとした。
 それにしても、みんな神に祈りつつ思いっきり殺し合ってるところがなんともご都合主義…その殺戮を神様が赦すはずなかろうに。
 ビルがジェニーを舞台にあげてナイフ投げをするシーン、あれはほんとうにDVだった。あのときのビルの気持ちがまったく理解できないので変なシーンではあるのだが、ほんとうにキャメロン・ディアスが怖がっているように見えて仕方がない。
 ブレンダン・グリーソンがまだ若い。いきなり背中に包丁を投げられて撲殺なんて、あんまりな死に方に目を背けた。
 







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