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『ペンタゴン・ペーパーズ(The Post)』

 自分たちの仕事・役割について話すときにさらりと自然に「合衆国憲法修正第一条」と口に出す記者たち。心の底からうらやましい。日本にこんな記者がいてくれたら。
 最初から権力とガチで対峙する姿勢が貫かれていたわけではない、というトム・ハンクスとメリル・ストリープそれぞれの葛藤がいい。特に後者はメインストーリーだけれども、前者もきちんと撮ることでリアリティが増す。

 婿養子的な夫に先立たれて、偶然社主になってしまったケイ・グレアムが中心。ほんとスピルバーグの目の付け所はちがう。「あの時代の典型的な上流階級の奥方」で人生を終えるはずだったケイが、ワシントン・ポストの社主として旧友と決別して憲法を盾にたたかう決意をするまでの逡巡。圧倒的な男性社会の中で、小バカにされているど真ん中で、あの決断、あの気高い振る舞いには、涙が止まらなかった。メリル・ストリープの知性があってこその演技。ケイを見守る女性たちのまなざしもすごくいい。記者たちの「男らしい」たたかいの話にはしなかったスピルバーグ、偉い✨

 トム・ハンクス、いつの間にこんなに渋い俳優になったんだ。ガラガラ声が、いい。





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