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久永実木彦さんの『わたしたちの怪獣』を読了

今までの怪獣SFにないベチベチとした世界の手触りと重みを感じさせる、観念の先に僅かに射し込む希望が眩しい表題作を始め、現実のどうしようもないモタモタ感とギリッとクリアなアイデアが同居したSF短編集。節々に配置するリアル感ポイントが心憎くてグエ〜ッ!小林泰三「吸血狩り」のさらに一歩先を大胆に描いた「夜の安らぎ」、どんなZ級映画にも確かな存在意義があると高らかに謳い上げる絶望的状況の中の映画讃歌である「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」も最高なのだが、自分的には時間跳躍絶望工場SF「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」がひたすら刺さった。本作や小田雅久仁「農場」、岩城裕明「三丁目の地獄工場」を集めて絶望工場SFアンソロジーを組んでほしい。それよりもせっかく『Sci-Fire 2021』を買ったんだから「ガラス人間の恐怖」も読まなきゃだし、あと同人誌の『パトリックのためにも』も欲しい……

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