先日午後8時半過ぎ、駅前で信号待ちをしていたら、同じく信号待ちをする高校生らしき男子三人組のうち一人が言った。「公民、地理、歴史やばい。」と。耳をそばだてるともなく、聞こえるに任せていたが、残念ながら若者言葉にありがちな意味反転「やばい→面白い/楽しい」ではなく、単に「成績が良くない」という意味のようだった。信号が青に変わって、私も彼らも歩き始めた。「公民とか地理はさ、今に関係あるじゃん。でも歴史って昔のことじゃん。興味持てないんだよねー。」と先ほどの彼は言い放った。他の二人もなんとはなしに同調する様子だった。私は心の中で、「今を知るには歴史を学ぶしかないんだよ。公民も地理も、それどころか数学だって物理だって歴史と深くつながってるんだよ。」と呟いた。きっと彼は勉強が捗らず、成績が振るわず、焦る心情を友だちと共有したかったんだろう。そんな口調だった。諦めず、もう少しだけ勉強を続けてくれるといい。自然と興味が湧いてくるかもしれない。自分の興味の泉がどこに埋まっているのか、特に若いうちは見当がつかないことも多い。近いうちに彼の「やばい」の意味が反転しますように。そう願いながら信号を渡り切ると、空腹の私はCoCo壱番屋に入って夕飯を済ませた。