エドワード・ケアリー
『飢渇の人』
不思議で奇妙でぞわぞわする話ばかりを収めた短篇集。
正体の掴みがたいもの、異形、世間の隅に追いやられたものを擬人化も交えて描いていていて、シュールで滑稽、でもそこには悲哀や優しいまなざしもある……というとても好みの作風だった。
巨大プロジェクトの舞台となった町のその後を描く「かつて、ぼくたちの町で」、瓜二つの老夫婦が客人を歓待する「おが屑」、フランス革命時における実在の人物と犀との交流を描いた表題作「飢渇の人」が特にお気に入り。「パトリックおじさん」は冒頭の文と最後の挿絵で二度不意を突かれてしまった。
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