バラージュ・ベーラ
『きょうだいの国』
少年ペーテルと少女イルマが小人に導かれ、水面に映った「きょうだいの国」を訪ねるというファンタジー。『ほんとうの空色』が大人の世界に踏み出す過程を描いた物語だとしたら、こちらは純然たる少年少女の冒険の世界という印象を受ける。おとぎ話の世界に迷い込んだかのような物語をカラー絵も交えた挿絵が引き立てていて、とても美しい。
「きょうだいの国」の住人は「わたしたちの国」の住人の良心のようなものなのだろうか? それでもそんな善良な彼らも「わたしたちの国」にいる片割れを失ってしまえばみなしごになってしまうという、ちょっと考えさせられる要素があっておもしろかった。
(講談社『こどもの世界文学25』に収録されたものを読みました)
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