E. L. カニグズバーグ
『クローディアの秘密』
家族に、そして自分自身に対して不満を抱く11歳のクローディアが家出先に選んだのは、メトロポリタン美術館だった。
弟ジェイミーを仲間に引き入れ、警備員の目を盗み、展示品のベッドを寝床代わりに……なんて、不可能とわかっていても胸が躍る! そして、そうした冒険の楽しさのみならず、等身大の少女が抱える思春期のもどかしさ、全能感、落胆といったものを、彼女自身ではなく粋な老夫人の語りという形式で描いているところにも素晴らしさを感じる。
先日読んだ別の本でストーリーの概要は知っていたんだけど、それでも十分にわくわくできたし、邦題の意味するものもしみじみと噛み締めることができる、いい作品だった。
#読書