至人の心を用うるは鏡の若し、将(送)らず迎えず、応じて蔵せず。故に能く物に勝ちて傷つかず。
至人(道に達した人)の心の動きの虚しさは、あたかも鏡のようだ。何ものをも見送らず、何ものをも出迎えず、ただ物に対応してその形を映し出すだけで、内に蔵いこむことがない。だからこそ、あらゆるものに打ち勝って、自分も無傷でいられるのである。
至人之用心若鏡 不將不迎 應而不藏 故能勝物而不傷
荘子 内篇 応帝王
池田知久「荘子 上 全訳注」講談社学術文庫2237
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