ロシが楽しみにしてた遠足の日が雨予報と知りてるてる坊主を作る事にした兄弟
たくさん作って晴れますようにとお願いをした
当日、残念ながら空は暗く曇りぽつりぽつりと滴が降り注いでいた
遠足は中止になり泣くロシ
徐に、ドは立ち上がって窓辺へと歩み寄る
カーテンレールに吊るされた笑顔のてるてる坊主に手を伸ばすと
ぶちり
吊るした紐を引きちぎり鷲掴む
そのまま方向を変え向かったのは文房具置き場
そこで手に取ったのはハサミ
「天気に、ならなかったえ」
ジョキンッ
ドは容赦なくてるてる坊主の首へとハサミを入れ首を切り落とした
二人で、家族の顔を模して作った自信作のてるてる坊主だった
切り落とされた父上てるてる坊主の首がコロリとロシの元へと転がってくる
あまりの容赦のなさについ泣き止むロシ
ドはそれを見てロシの憂さ晴らしにてるてるの首を切ってやればいいと思った
ロシはただ、兄の突然の狂気に驚いただけだったのに
次のてるてるへと手を伸ばす兄にハッとしてロシは追い縋る
「待って！！兄上！」
しかしドはジョキンジョキンと次々にてるてるへハサミを入れた
コロコロと転がる家族を模したてるてるの頭に無性に怖くなる
兄は、いつか本物の家族さえなんの感慨もなくこのてるてる坊主のように頭を切り落としてしまえるんじゃないかと