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中村和弘『荊棘』(おどろ)読了。
素晴らしかった!!
この世の非情さが土臭く現れるような、それでいて、ささやかな美が僅かに挟まれるような、読み甲斐のある句集でした。

液晶の画面に透きて春の蠅 中村和弘
青柿に額打たれて水汲めり
熱帯の花粉にまみれ涅槃仏
雪壁にあまた突き出て葡萄の枝
荒磯に骨正月の貝を剥ぐ
太陽に枝分かれして蛇の舌
新米の夢の中まで吹きこぼれ
一本の櫂に集まり夜光虫
天体は棺のごとし花吹雪く
掌の現れて菊人形の髪を梳く

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