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森澄雄『雪櫟』、読了。

第一句集。この頃は中ほどから家族詠がメインになるが、それ以外の句の方が佳句が多い。
家族詠、および男性のセクシャルな眼差しには粘性があり、現代的には評価が分かれるだろう。

急ぎつゝ煙草をともす霧の中 森澄雄
茅舎亡き朝顔に露石に露
かんがへのまとまらぬゆゑ雪をまつ
曼珠沙華長き貨車ゆき眠くなる
月のぼる墓の四面が真暗に
眼鏡はづして病む十月の風の中
四肢衰へて見る白桃は夢のごとし
野分の猫水呑んで舌打鳴らす
熱飯に紅生姜夏百日来
晩涼や百日紅に燈がさして
苺赤し一粒ほどの平安か
家に時計なければ雪はとめどなし
雪夜のペン書かぬ左手すぐかじかむ
夜明けつゝなほ雪嶺は夜の方
梨喰うて口さむざむと日本海
捨て葱に雪ふりかゝる一二片
除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり

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