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清水基吉『寒蕭々』、読了。

知らない作家だったが、小説「雁立」で第二十回芥川賞受賞者らしい。結社は「鶴」で石田波郷門。
句の調子は良いのだが、やや余情に乏しい。途中に入る家族詠は、やや粗い。
季語でない名詞+「や」という上五は、いまでもたまに流行る技法だなと思った。

体操や松の花散る松の風 清水基吉
渋谷川西日のなかの荒神輿
人待ちて立つや坐るや雁渡る
てつぺんの空澄んでゐる焦土寒む
酔曵いて戻る暗がり花咲けり
初燕旅の三飯あますなし
竹の皮散るよと見れば雀色
弟や恋の傘さす百日紅
玉の露呼べば応へて妻そこに
蝶交み飛ぶをしりへに薪を割る
パン食ふや時の記念日凡に過ぐ
行雁やなまぐさものを夕の膳

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