〈デカルトは自らの主張が正しいことを証明するために、生きた動物を解剖した。動物の四肢を板に釘で打ちつけ、臓器や神経を調べた――とりわけグロテスクなのは、妻の飼いイスも解剖したことだ。動物は痛みにもがき苦しんだが、彼はそうした反応を、痛みの「外見」にすぎず、物理的刺激に対して筋肉や腱が自動的に反応しているだけだと主張した。「感覚や知性のように見えるものにだまされてはいけない」と彼は人々に呼びかけ、こう述べた。「分析の対象にすべきはシカやフクロウそのものではな い。自然が機械的なものであることを理解するには、その全体ではなく部分を掘り下げる必要がある。 生命のように見えるものは、実は不活発な物質でしかない。モノなのだ」〉
ジェイソン・ヒッケル、野中香方子/訳『資本主義の次に来る世界 』(東洋経済新報社、2023)