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渡辺 一史『なぜ人と人は支え合うのか  「障害」から考える』(筑摩書房、2018)読了。

『こんな夜更けにバナナかよ』の著者による、「ちくまプリマー新書」。 
「相模原障害者施設殺傷事件」の植松聖被告は「障害者なんていなくなればいい」という趣旨の供述をした。その考え方を高みから全否定するのではなく、その主張をわが身に照らして、じっくり吟味してみる必要があると著者は書く。
和光大学名誉教授で哲学者・生物学者の最首悟氏にはダウン症で重度の知的障害がある娘と暮らしている。あるとき拘置所にいる植松被告から手紙が送られてきた。「大学で指導する人が、社会の負担になる重度障害者と暮らすなんてありえません」と。最首氏は「八つ裂きにしたい」怒りを堪えて、植松被告と接見を始める。そして、植松被告の人物像が浮かび上がる。

本書にはさまざまな「活動」する重度障害者が描かれる。そして、彼彼女ら「支えられる」だけの客体ではなく、介助者や行政も彼彼女らに「支えられる」様子もつぶさに描かれる。
〈人と人が支え合うこと。それによって人は変わりうるのだということの不思議さに、人が生きていくことの本質もまた凝縮している〉

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