「自己啓発本」と「哲学/倫理学/心理学」はどう違うのか? という悩みは、現代においては「医療モデル」か「社会モデル」か、でだいたいいいと思う。「医療モデル」で「個人化」で押して「トラウマや他者や社会や政治は変えられない。自分が意志で変わるしかない。他人のせいにしない!」というのは遍く「自己啓発本」です(昔の哲学本にもけっこうあるが、全く批判されず現代に引き継がれているものは多くない)
「自己啓発」されたあとに、芯としてトラウマや他者や社会や政治が依然としてとげとげにのこる、「いまここ」の安易な認知行動療法的なもの、そうできない「自己」を「意志」の問題とし、自己責任論につなげるのが「自己啓発本」です。
それが要るときもある。一瞬の「認知の歪み」(Negative thinking patterns)を気づくのには「医療モデル」が要るときも。ミントタブレット的な。
けれど、それはすぐに解けることが多く、結局は「社会モデル」などやそれを複合した分析が要るのです……。
読むのも億劫な細かい規約に「yes/no」を問われ続ける。「あなたがyesならあなたの責任です!」と日々追い立てられる。うんざりです。問う前に倫理的な責任を果たせ。お前の反-倫理的行為を「同意」という自己責任論でチャラにするな。「No means no」だけではなく、「yes…… means no」もある。
主体を乗っ取ってくんな。