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國分功一郎, 熊谷晋一郎 著『 <責任>の生成ー中動態と当事者研究』(新曜社、2020)読了。非常に素晴らしかった……!!

責任(レスポンシビリティ)は応答(レスポンス)と結びついている。自動的でなく、自分なりの仕方で、応じていくこと……。
当事者研究における「外在化」(犯人探しではなく、メカニズムを探る態度)。それによって、一度免責することで、最終的に引責できるようになるという考え方。熊谷はASD当事者の綾屋紗月との共同研究、及び「ダルク女性ハウス」、「べてるの家」での当事者研究に当事者運動の側面を見出す。
「中動態」(動詞は主語がその座になるような過程)という概念が持ち込まれる。能動態/受動態の対立では「意志」が重んじられ、自分の意志でやったのか、否かと「尋問の言語」が選ばれるようになる。「意志」は過去からの切断。そこには現在と未来しかない生を生きたいという欲望が現れている……。

「中動態」とASDとの関係、綾屋の「ゆめゆめ、中動態は生きやすいなどと思うなよ」という言葉も印象的だった。「中動態の世界」の実際とは、アフォーダンスの洪水のなかに身を置くことを意味しているのだ。それをまとめ上げ、絞り込んでしまう「健常者」の方が「あまりにも、うっかりしているんじゃないか」というのも重要な指摘。

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