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秦正樹『陰謀論』(中公新書、2022)読了。いったいどのような日本人が陰謀論に嵌まるのかを世論調査データと統計学で読み解いている。
「第三者効果」によって「私は陰謀論に騙されやすくはないが、多くの人は陰謀論に騙されやすい」と思い込んでしまう。「普通の人自認層」ほど右派的・排外主義的で陰謀論を受容しやすいが、「動機づけられた推論」にもとづけば、左派・リベラル派であっても受容する可能性が高い。政治や時事的な関心のある人ほど陰謀論を信じやすく、プライベートな出来事に没頭している人のほうが陰謀論を信じにくいなどなど、データ分析による説得力ある論だった。
私自身は政治や時事的な関心が割とある方だと自認していて、自分も陰謀論に嵌まり込んでしまう可能性は十分にあるな、と思った。

データでは「社会的望ましさバイアス」も見え、アンケート結果と本音は別のところにある、という分析にも感心した。望ましさが駆動することには陰陽両面があるだろう。怖い部分でもある。

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