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野田地図“正三角関係“ネタバレあり 

"正三角関係"はカラマーゾフの兄弟をモチーフに、長男による父殺しの裁判シーンを軸に話が展開していく中で、だんだんと原爆投下直前の長崎が舞台であることが明かされていく…という構成で。三兄弟の次男は物理学者で、日本において核兵器の開発を研究しているという役どころなんだけど、自らの研究について、米国が戦後に原爆投下を正当化してきた論理を写し鏡のように述べていくのね。「これを米国に落とせば戦争を終わらせられる、それは良いことで罪ではないし裁かれない」と。実際に米国による原爆投下は、非武装市民の無差別殺害で明確に国際法違反であるにもかかわらず、今日に至るまで国際司法の場では裁かれていない。

一方で今に視線を向けると、イスラエルによるジェノサイド(あえて要件定義の厳しいこの単語を使う)も、ICJは入植については国際法違反だと既に断じているにもかかわらず、戦闘が継続されている。もしこのまま最悪なことに完全に民族浄化が完了してしまったら、もうそれは後からいかようにも正当化されてしまうのではという恐れを強めた。力による現状変更とはそういうことなのだと。
しかしそのことによる苦しみはどれだけの年月が経っても無くならないし、語り継がねばならない。舞台からはそこに対する野田秀樹の強い意志を感じた。私自身の応答としては何もまとまらないけど、少なくとも今この作品を観られて良かったと思う。

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